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INSIGHT VOL.2「複製」の意味について理解する〜公式の「複製」は単なる「コピー」ではない〜

Animation is made by a lot of shared work.アニメは数多くの分担作業によって作られる

アニメは各分野のエキスパートが結集し、それぞれの分担作業によって一つの作品が作り上げられる。
まず原作を元に企画・脚本が作られ、絵コンテができると、それを元に1カット毎に動くものや台詞、音、カメラワークなどが設計される。これをレイアウトという。次に原画と動画の制作が行われる。この工程を「作画」という。

原画とは、動きのポイントとなる絵のことで、原画を描く人のことを原画家、通称原画マンと呼ぶ。レイアウトに従って、原画マンは動きのポイントとなる原画を描く。英語では主にkey AnimationまたはKey frameなどといわれる。必ずしも原作者がひとりで原画を描くわけではなく、複数の原画マンが協力して、キャラクターごとやカットごとに分担するなど、チームワークでひとつの原画を作成する。

原画と原画の間をつなぐ絵を描く人のことを動画家、通称動画マンと呼び、最後に原画の統一やチェック、修正を担う人を作画監督という。その他にも背景を描く背景担当や、セル画に色をつける色彩担当など、多くのスタッフの分業によって作画作業が行われる。
そもそもアニメは数多くの絵を連続表示させることで動いているように見せる映像表現であり、秒間8枚から24枚という数多くの絵が必要となるためこの分担作業によってより効率的な制作が実現する。

スタジオジブリ作品「天空の城ラピュタ」のセル画
スタジオジブリ作品「天空の城ラピュタ」のセル画

セル画とは、透明のフィルムのようなものに描いたアニメ制作用の絵のことで、1900年代初頭、奥行きがある中でキャラクターを動かすために、動くキャラクターはセルに描き、背景画などを紙に描く技法が生まれた。
それから1990年代まではほぼすべてのアニメがこのセル画で作られてきた。

セル画が用いられてきた理由は数多くある。例えば1枚の絵に背景も小物もキャラクターも全て描いてしまうと、それを動かすためには1コマ1コマ絵を全部描き直しになるが、セル画を用いることで背景はそのまま使い回すことができる。キャラクターの表情も、目や口だけ描いたセルをキャラクターの顔に乗せれば、喋っているように見せることができ、別の背景を後ろに透かせば、別のシーンにもなるのである。
その他にも表現上のメリットがたくさんあるが、絵をパーツに分けて描くことで効率化できるという点がセル画が用いられてきた最も大きな理由である。

しかしながら、現代ではアニメ制作現場のCG化が進み、2000年代になるとセル画を用いたアニメ制作は消滅し、今では過去のものとなっている。

スタジオジブリ作品「もののけ姫」の原画
スタジオジブリ作品「もののけ姫」の原画

例えばスタジオジブリの制作工程をみると、宮崎駿氏が企画・脚本から絵コンテまでを制作するが、実際に作画しているのはスタジオの原画家、動画家たちである。宮崎氏が直接原画を描く場合もあり、その原画の価値は特に高いが、原作者以外の原画家たちによるチームワークで制作されることは最も一般的な形態で、原画は数多くのアニメーターのクリエイティビティと技術の結集であり、それだけで美術的な価値は高い。

また、「もののけ姫」はスタジオジブリが最後にセル画を使用して制作した作品で、ちょうどCG導入の過渡期にあったためセル・CGのハイブリッド制作が行われた。総セル画枚数は144,000枚で、133分のアニメーションを完成させるのに3年という想像を絶する時間と労力を費やした作品といわれている。
なお、これより後には色が塗られたセル画を使用した作品はなく、そのために美術品としての希少価値が高いのである。

What is the true value of "printed key animation"?「複製原画」の真価とは
「複製」の意味について理解する

まず最初に「複製原画」という言葉の矛盾と誤解を解く必要があるのではないか。そもそもNFTは唯一無二のデジタルデータとしてその価値を証明するものであり、「複製品のNFT」と聞くと当然コピー品に価値などあるのか、と誰しもが疑問に思うからである。また一方では、一般的な美術用語でに原画=オリジナル、原本という意味で捉えられるので、言葉として互いに矛盾している撞着語であると解される可能性もある。

「複製原画」とはそもそも専門用語であり、この言葉をアニメセル画・原画などの作品に対して用いるとき、「原画」とはアニメを制作する上で元となる絵のことを指しているのであって、そもそも絵の原本という意味合いではない。

官方复制原画会被赋予官方发行的证明书
官方复制原画会被赋予官方发行的证明书

また、「複製」という言葉もそれだけでは誤解を与える表現である。オリジナルはその言葉の通り、直筆の原本のことだが、ここでいう「複製」とは作者の許可のもとに、等寸複製したものであり、一般向けに絵を販売することを目的としている公式なものを複製画といっているのであって、単なるコピーというわけではなく、高度な印刷技術により、限りなく本物の原画に近づけたものである。
公式に制作される物は印刷する枚数を予め限定し、シリアルナンバーが入ったり、原作者直筆のサインがつくことも多いので、当然に認定書などの証明書が発行される。

無論いわゆる贋作や模倣品の類ではないのだが、大量消費の時代を生きている我々にとって「複製」と聞くと誰しもが一瞬はチープな印象を持たざるを得ない。英語でCopyではなく、Printedと表されているのもそういったものと区別するためでもある。
実際に絵画の複製画といえば、古くからアートの世界でもひとつのジャンルともいうべきものとして扱われており、オリジナルに比べると手頃な値段で手にすることを可能にする広く一般的な商品である。

少数複製されている複製原画は複製でありながらも入手困難なものが多くあるためその希少価値は高く、実際に海外でも高値で取引されている。
つまり、「複製原画」といっても、作品によっては希少価値が高く、唯一無二の一点物として認められ、世界中のコレクターの間で蒐集・取引されているのである。
すなわち、一口に「複製」といっても、NFT化されたその作品(アイテム)の価値は、よもやオリジナル以上となる可能性すらあり得るのである。それが複製原画の真価であるともいえるのではないか。